2026 8.4 tue., 8.5 wed., 8.6 thu., 8.7 fri., 8.8 sat.
MARIA SCHNEIDER ORCHESTRA
artist MARIA SCHNEIDER , MARIA SCHNEIDER ORCHESTRA
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
音の魔術に包まれる至高のひととき。マリア・シュナイダー・オーケストラのブルーノート東京5デイズ・10セット公演が昨日から始まりました。同オーケストラの来日は、なんと9年ぶり。超満員の客席は本当に老若男女さまざまで、実際にビッグバンド~ラージ・アンサンブル・ジャズに取り組んでおられる方も相当数、いらっしゃったのではないかと思います。そして前回の公演から今回の公演の間にマリアを知り、すっかりその音楽世界に魅了されてしまったファンも多いのではないでしょうか。開場まもなく尋常ではない熱気にあふれていた、というのが初日ファースト・セットに足を運んだ私の印象です。
メンバーが次々とバンドスタンドにあがり、その後マリアが万雷の拍手を受けて登場して定刻に演奏が始まります。オープニングは、数多くの若手・学生オーケストラにとってバイブル的な1曲であろう「Dance You Monster To My Soft Song」。1994年リリースのファースト・アルバム『Evanescence』に収録されていました。曲を特徴づける弦楽器のユニゾンによるオスティナートはナマで聴くと迫力倍増! そこに絡むミュート・トランペットのアンサンブル、縦横無尽のアプローチでボトムを担当するジェイ・アンダーソンのベースとジョナサン・ブレイクのドラムスとの連携にも引き込まれます。同作のレコーディング・メンバーでもあったジェイ・アンダーソン、スコット・ロビンソン、リッチ・ペリー、ジョージ・フリン、キース・オクインが今も在籍して、目の前でプレイしてくれていることの、なんという嬉しさでしょう(スコットはソロも披露しました)。
ほか、このセットでは、バディ・リッチやウディ・ハーマンなどレジェンドたちのオーケストラでも活動したグレッグ・ギズバートがフリューゲルホーンとトランペット双方の音色の魅力(違い)を鮮やかに伝える「Pretty Road」、ゲイリー・ヴェルサーチのピアノとジェフ・マイルズのアーミングも用いたギターが音の対話を届ける「Thompson Fields」、ダニー・マッキャスリンやデイヴ・ピエトロの躍動的な吹奏とまるでグラス・ハープのような音色を持つジュリアン・ラブロ(ラテン・グラミー賞ノミネート歴あり)のアコーディオンが好対照をなす大作「Cerulean Skies」と、実に心弾むマリアのオリジナル曲に加えて、ジョン・コルトレーン作「Giant Steps」も取り上げられました。ハービー・ハンコックにも絶賛されたというマリアのアレンジは、"コードが動きまくる"同曲の中に、"コードが動かない"部分を効果的に盛り込んだもので、その"動かない"ところに登場したスティーヴ・ウィルソンのアルト・サックス・プレイもまた、この日の圧巻でした。
さらに付け加えますと、合奏の中でのアコーディオンの用い方にも私は目の覚めるような気分になりました。"大編成ジャズでのアコーディオン"というと私はベニー・モーテン楽団(カウント・ベイシー楽団の母胎のひとつ)の「Moten's Blues」や「Terrific Stomp」を思い出すのですが、そこでは完全にソロ楽器としての扱いでした。それから約100年を経た現在、マリア・シュナイダー・オーケストラにおける、アコーディオンの甘美で、よく伸びる音色は(PAやマイキングの進化も不可欠だったと思いますが)、管楽器とリズム・セクションの双方に溶け込み、双方を結び付け、この精鋭音楽集団の響きをいっそう類例のないものにしていました。専業のアコーディオン奏者を、各曲のアンサンブルで見事に生かしたマリアの鋭敏なセンスにも最敬礼といったところです。
マリア・シュナイダー・オーケストラは8日までブルーノート東京でステージを行ない、9日に日本ツアーのラストを高崎芸術劇場 大劇場で締めくくります(つまりコンサート・ホール公演)。各ショウとも、異なるセットリストで演奏されるとのこと。マジカルな瞬間の連続を、ぜひご体感ください。
(原田 2026 8.5)
Photo by Yuka Yamaji
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【LIVE INFORMATION】
MARIA SCHNEIDER ORCHESTRA
2026 8.4 tue., 8.5 wed., 8.6 thu., 8.7 fri., 8.8 sat. ブルーノート東京

2026 8.9 sun. 高崎芸術劇場 / 大劇場

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